
美容師アシスタントの仕事内容は色々あるわけですが、どうしてもスタイリストデビュー前に美容師を辞めてしまう子が多い。
美容師の離職率が高いわけです。
辞める理由は人それぞれで仕事内容的にきついのかもしれないし、人間関係かもしれないし、他の理由かもしれない。
中でも新卒入社のアシスタントの子がすぐ辞めてしまうケースはよく聞くところ。
これから美容師になろうという美容専門学生にしてみれば、美容師アシスタントの仕事内容が気になるところだと思うので紹介します。
美容師アシスタントの仕事内容は正直キツイとは思わない。特に今の時代は。
別に昔と比べるつもりはないですが、今はだいぶまともな労働環境も増えてきているので、そこまで大変とは思いません。
また、美容室激戦区の東京の青山・原宿・表参道エリアと郊外個人店、チェーン店などでも大変さが変わってくると思います。
僕は、激戦区でアシスタントからスタイリストになっていますし、郊外個人店と中規模チェーン店でも働いたこともあります。
アシスタント時代は練習漬けで4年間を過ごしてきて今があります。
そんな僕が新卒の子が美容師アシスタントとしてのやることを紹介します。
時代の変化もあるので、参考までにしておいてほしいと思います。
個人的には別に特別キツイとは感じません。
仕事がキツイというより社会人となったことだけでキツイと感じているような気がしているわけです…
新卒美容師アシスタントの仕事は?
とにかくメインはシャンプー練習。
シャンプーチェックに合格してからが本当のスタート。
そこまではいわゆる研修期間と思っていい。
シャンプーで入客できてこそアシスタントとしての始まり
美容室においてのシャンプーとは、ほとんどの施術メニューにおいても必要となる重要な技術です。
まずはシャンプークロスの正しい付け方。これが意外と重要。
お客様に不快感がないようなつけ方があるし、うまくできてないと洋服をビショビショにしてしまったり…
これに伴うお声掛けもそうだし、椅子の倒し方も起こし方も。
細かく説明してたら大変なのでここは割愛させてもらい。。
カットでもカラーでもパーマでもトリートメントでも、とにかくシャンプー台にご案内してのシャンプー業務が必須となります。
これをメインとして行うのがアシスタントであり、アシスタントの中でも1年生の仕事とされています。
シャンプー練習は確かに疲れる
営業前、営業後ととにかく何人ものモデルをシャンプーします。
手の油分が無くなります。ふやけます。腕の筋力がUPします(笑)
本気でやっていれば汗だくになるレベルです。たぶん。
疲れます。腕がパンパンになります。キツイと感じるかもしれません。
でも、シャンプーモデルになって練習を見てくれる先輩も実はかなり大変です。
立て続けに何回もシャンプーされるわけです。しかもずっと寝たままの状態だったりします。
首も疲れるし、頭も痛くなってきます。
終いには背中までびっしょり濡れています。シャンプー練習に付き合う先輩の背中は、ほぼ100%濡れます。
誰もが通る道であり、出来なくて当然なので先輩も怒りません。
たまに「どんな洗い方したらこんな濡れるんだ⁈」という子も現れます。
シャンプーはお客様を担当する最初で1番大事な技術なんです。
うまく出来ないし、疲れるし、背中まで濡らしちゃうし…もうしんどい。。と感じるかもしれませんが頑張ってほしい。
お客様の「気持ちよかった♪」が聞けた時はモチベーション上がりますから。
とにかく準備・片付け・掃除!アシスタントの仕事です
アシスタントだけでなくスタッフ全員の仕事ではありますが、先輩たちには先輩たちにしか出来ない仕事もあるわけです。
適材適所というやつです。
もちろんスタイリストになったら、やらなくていいわけではないです。
サロンワークにおいて重要な朝の準備を覚えるアシスタント
入社後しばらくは、すぐ上の先輩が鍵当番で朝1番に来てくれます。
先輩たちが出勤するまでに朝の掃除を終わらせます!
ということはないです。多分…
営業開始の準備は、オーナー以外のスタッフ全員でやるはずです。オーナーも一緒にやるサロンも多いとは思います。
例えば、10時オープンの美容室なら9時半から朝礼して準備スタート。とかになるかな。
夜も掃除して帰りますが、朝も掃除して準備をします。
サロンは、スタッフが過ごす場所ではなく、あくまでもお客様に気持ちよく過ごしてもらう空間です。
すぐ上の先輩が付いて、掃除道具の場所や掃除する場所など教えてくれます。
このとき、小さなメモ帳とペンは持っときましょう。忘れないようになんでもささっとメモっときます。
何度も何度も同じことを先輩に聞かないように心掛けましょう。
はじめは、細かいところまで口うるさく言われるかもしれません。
言い方も人それぞれだったりするので、ヘコむこともあるかもしれません。
キツイと感じるかもしれません。
でも、お客様が過ごす空間がキレイな状態じゃないというのは、あってはならないのです。
結構厳しく教えられます。掃除はめちゃくちゃ大事なんです。
ここでしっかりと開店準備をしておかないと、営業開始してから自分を含むスタッフみんなが困ることになります。
朝の開店準備、夜も掃除しているからといって絶対に気は抜けません。
サロンワーク中の掃除・片付け・施術準備・お声掛けに全力になる
営業が始まるとお客様がご来店します。
「いらっしゃいませ」言ってください。
お客様が施術を終えて、シャンプー台へ移動します。
「お疲れ様でした」お声掛けしてください。
お客様がお会計を終えて、お帰りになります。
「ありがとうございました」気持ちを伝えてください。
この3つは、お客様にお声掛けするアシスタントの3大ワードです。
というか、アシスタント1年目なんてお声掛けが仕事とも言えるくらい。
小さな声でもダメだし、八百屋さんみたいに大きな声でもダメ。
忙しく働いている先輩たちもお客様を施術しながら見てます。かなり見られています。
ちゃんと意識してやっていないと後で注意されます。
お客様のカットが終わって床が毛だらけです。床掃きもアシスタントの仕事です。
お客様に「失礼します」と言って、スマートに床をキレイにします。
このとき、なるべくスタイリストや他スタッフの邪魔にならないよう気を遣いながら床掃きをします。
とにかく、サロン内の床掃きは大事です。
美容室だから髪の毛が落ちていて当たり前ではありません。(実際は落ちているんですが…)
手が空いたらサロン内の床掃きをします。常にキレイな状態を保ちます。
最初は、アシスタントの動きがわかりませんが、手が空いているからとボーッと立っていたら注意されます。
手が空いているなら床を掃く。くらいでいた方がいいです。
先輩が床掃きをしていたら「代わります!」と自らやるようにしましょう。
先輩も手が空いているからやっているのかもしれませんが、もしかしたら他にやるべきことがあるかもしれません。
お客様のカットが終わり、次はカラーをします。
カラーやパーマの準備もアシスタントの仕事。
スタイリストがカット中に次の施術の準備をしておきます。
施術に必要なものを忘れずに用意しておきます。
施術に必要なものとは?
カラー剤やハケ、パーマ液やロッドなどの場所、準備の仕方を教えてもらいます。
ここでちょっとだけ面倒かもしれないことが、スタイリストによって準備の仕方が微妙に違うということ。
基本的には同じ準備。でも、スタイリストによって癖があるわけです。自分の施術スタイルみたいなものが。
スタイリストの多いサロンでは、覚えるまで大変かもしれません。
カットが終わればカットクロスをキレイに畳む必要もあります。
床も掃きます。やることいろいろです。
サロン内は、ワゴンやカットチェアーや機器などがいろいろとあります。
お客様が移動中の時もあります。カット中のスタイリスト、カラー塗布をしている先輩といろいろです。
周りに気を遣いながらスマートな動きが大事です。
それとメモね。ただ、メモる時はフロアーでやるのではなく、なるべくお客様の見えないところでささっとね。
とにかく営業中はフロアーの動きや流れを常に意識する
先輩アシスタントがいればフロアー全体の動きを把握して支持してくれるでしょうが、1年目のアシスタントもできるだけ早く理解します。
- 各スタイリストの次の予約時間
- お客様の様子
- 各スタイリストの状況
などを常に意識して動けるようになることを目指します。
スタイリストは、お客様を複数同時に担当することも多いので、基本的にはアシスタントのトップがフロアー全体の動きをや流れを把握します。
その上で、後輩アシスタントに指示を出してサロンワークが円滑に回るようにします。
とはいえ、1年目のアシスタントも徐々に把握できるようにならなければいけません。
ここが見えてくるようになると、自分が「次どう動くべきか?」が判断できるようになります。
成長です。
基本的には、スタイリストは自分のお客様だけに集中します。他スタイリストを含むフロアーの流れまで把握することはあまりありません。
店長クラスになると、それなりに全体を把握してサロンワークをしていますが。
やはりアシスタントが把握する必要があります。
大きなサロンになるとアシスタントの動きがめちゃくちゃ重要となるんです。
お客様がたくさん待合でお待ちになっている。という状態にならないようにします。
- どのスタイリストが詰まっていて、お待ちのお客様は何名なのか?
- どのお客様がどのくらいお待ちなのか?
- 次ご案内するお客様は?
- そろそろ仕上がるお客様は?
大変ですが把握できるように集中します。
カットが終わって毛流しがあれば1年目の仕事です。あとどのくらいでカットが終わるのか予測して、他業務をこなしていくわけです。
あっちもこっちも気にする必要があるので、慣れるまでは大変です。
裏(バックルーム)での仕事もたくさんある。
フロアーでの業務だけがアシスタントの仕事ではありません。
美容室の業務で欠かせないタオルの管理、流し台の洗い物など裏での業務もアシスタントの仕事です。
フロアーばかり気にしていられません。
フロアーに必要なタオルが少なければ裏から補充する必要があるかもしれません。
裏では、使用済みタオル(洗濯物)が溜まっているかもしれません。乾燥まで終えたたたみ待ちのタオルが山積みになっているかもしれません。
使用済みのカラーカップやロッド類など、片付けるものが溜まっているかもしれません。
フロアーのことに気を配りながら、裏の状態にも気を向けます。
とはいえ、裏で作業しているときにもフロアーの流れを予測して動く必要があります。
裏でタオルをたたんでいたらスタイリストの施術が終わっていた。。この時、シャンプー業務があるとして、それがアシスタントの自分が担当するべきタイミングだったかもしれません。
ここで自分がシャンプーを担当しなかったことでフロアーの流れが変わり、スタイリストの仕事が詰まるかもしれません。
結果的にお客様に負担を掛ける事になります。
というような事にならないようフロアーとバックルーム両方のサロン全体に気を配っている必要がアシスタントにはあるわけです。
1年目のアシスタントには大変です。いきなりできなくて当然です。少しづつ慣れていくものです。
技術向上のための練習も仕事(?)のうち
アシスタントには技術レベルがあって、段階的にクリアーしていく必要があります。
いわゆるカリキュラムです。サロンによって進み方は違います。
例えば、
- シャンプー(ウェット、お流し含む)
- ヘッドスパ、トリートメント
- カラー塗布
- ワインディング
- ブロー
- ストレートパーマ
などのように、順番にクリアーしていきます。(同時進行するものあったりします)
これらをマスターすることがスタイリストデビューするために必要となります。
そして、各技術チェックに合格することで、営業でお客様に入れると認められます。
サロンとしては早くこのチェックに合格してほしいと考えます。
アシスタントがレベルアップすることで、サロン全体で考えた時により多くのお客様を施術することができるようになります。
サロン売上がUPするわけです。大事です。
だから、アシスタントにはサロンワークと同様に練習もしっかりとやってほしいわけです。
練習もしない。技術の向上もない。というアシスタントを雇用し続けることは、美容室経営者からしてみれば無駄な投資と思ってしまうことも…
とはいえ、昨今の働き方改革もありこの練習の仕方にも変化があります。
美容師としての技術向上のための練習は、基本的には営業時間外にやることになっていたのが当たり前でした。
しかし、今は営業時間外に練習を強制することは「どうなんだろう…?」みたいなことも言われているわけです。
要は、営業時間外の練習会などは残業となるのでは?ということ。
まぁ、この話は難しいのでまた別で考えを書きたいと思っています。
ただ、アシスタントはサロンワークだけが仕事だと思わないことです。
練習が仕事かどうかということより、美容師としての自分のための練習も仕事のうちと考えておいたほうがいい。
練習を一切せずスタイリストデビューできるなんてことはない。
サロンワークだけしていればスタイリストになれることもない。
練習を「仕事」と呼ぶのはちょっと迷うところですが、美容室に勤めるアシスタントとしては必要不可欠であることは間違いないです。
スタイリストになっても技術の向上は、美容師としてずっと続くものですし。
とにかく、サロンワークでの雑務やヘルプなどだけが仕事ではなく、自分のための練習もやっていく必要があり、その練習も決して楽なものではないということ。
美容師アシスタント業務は覚えてしまえばなんてことはない。
美容学校卒の新卒1年目のアシスタントにとって「大変」と感じるのは当然なんです。
ただ、この「大変」とは「仕事が1年目だから」という部分がほとんどです。
美容師アシスタントという仕事に限らず、社会人1年目とは全てが初体験なわけです。
自ら判断してやれることなんてほぼゼロの状態です。
「教えてもらうこと、覚えること、支持されること、注意されること」こればっかりになるもんです。
だって、全てが「はじめて」ですからね。
出来ないことを出来るようになる。簡単じゃないのは当然と考えておけばいい。
で、この美容師アシスタント業務を覚えることがキツイ、辛いと感じるかどうかはやってみないとわからないでしょう。
でも、学校の勉強も実技も覚えるまではキツくても、覚えてしまえばそう思わなかったんじゃないのかな。
アシスタントの仕事も覚えて出来るようになれば、それが当たり前になるから心配しなくていいと思う。
他の仕事を選んだって最初は大変でしょう。
じゃあ、美容師アシスタントの何がキツイ・辛いと感じるのか?
それは、仕事内容というよりは労働環境なんだと思います。
美容室の労働環境。
働く環境はサロンの違いでも変わってくるのですが、美容師の労働環境と考えると全般的には良いとは言えないです。
- 休み少ない
- 労働時間が長い
- 給料少ない
- 社会保障がない(に等しい)
いわゆるブラックと感じる労働環境になるんでしょうね。
それと、人間関係もあるかな…
アシスタント時代は、サロンワークと練習もある。
技術向上のための練習が大事だと先にも書きましたが、この労働環境で練習にも時間を使わなくてはならない。ということが1つあるのかと思います。
休みも毎週2日あって、安定した生活レベルを維持できる給与があって、長時間労働(10時間以上)じゃなくて、社会保険にも加入している。
という環境での「練習に頑張る」ならキツイ・辛いとは、そこまで感じないかもしれません。
美容師アシスタントが辞めたいと感じるのは、
今、これを見ている美容学生さんはどう感じるでしょう?
ネット上には「美容師 アシスタント」のキーワードで検索すると、ネガティブな内容の情報がたくさんヒットします。
「やっぱ美容師辞めた方がいいかな…」とか考えるのかな?それとも「全然、平気!」と感じるのでしょうか?
僕が言えることは「美容師は大変」
でも、それ以前に仕事というものは大変なもんです。
楽な仕事なんて知らないし、楽して稼げる仕事なんて(まともなものでは)ない。
社会に出る前から「楽がしたい」と考えているなら、美容師の仕事はお勧めできない。
どんな仕事を選択するかは自分次第で自分の責任。
とにかく、美容師を目指すのであれば、その決断に責任を持って頑張って欲しいです。
それと、美容室でも労働環境の整った就職先はあります。今はそれなりに増えてきています。
だから、そういうサロンを就職先として選ぶことも大事。
それともう1つ、情報収集も簡単になった時代だけど、情報の正確性を判断する経験値がないうちは、実際に会って聞いた話が1番の情報だと思います。
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