女性で美容師のお仕事をされている方に絶対に知っておいて欲しいことが、『女性美容師の産休・育休について』です
まずはじめに、
- 産休・育休は女性美容師も取得できる
- 産休育休の制度をフル活用するには条件がある
- 制度利用には女性美容師の働き方が関係してくる
ざっくりと伝えるとこうなります。
ここでは女性美容師さんに「自分が産休育休制度を利用できるのかどうか」を理解してもらい、一人でも多くの女性美容師さんが出産や育児を機に美容師を辞めるのではなく、産休育休制度を利用して美容師を続ける選択もあることを知ってほしいです。
この記事で、産休育休の制度を利用するためのやるべきことがわかるようになっています♪
女性美容師も利用できる産休育休制度とは
産休と育休は国が働く女性を支援するために設けている制度です。
- 法律で定められた期間お休みを取ることができる
- 休業中の保険料納付の免除
- 出産育休に伴う給付金がもらえる
産休制度とは
出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から取得できる「産前休業」と、出産翌日から8週間は働けない「産後休業」、この産前・産後休業を産休といいます。
※産後の職場復帰は、医師の診断を必ず受けてください。また産後6週間を過ぎて医師が認めたら仕事をすることも可能です。
育休制度とは
1歳に満たない子どもを養育する男女労働者は、会社に申し出ることにより、子どもが1歳になるまでの間に希望する期間、育児のために休業できます。
産休育休制度でもらえる給付金や保険料免除
産休と育休で女性美容師さんもしっかりとお休みを取れます。しかし、休業中の金銭面が不安になりますよね?
もちろん、国からのサポートがあるので不安を軽減できますので安心してください♪
もらえる給付金
出産育児一時金
加入している健康保険から子供1人につき42万円が支給されます。(双子の場合は84万円)
勤務先の美容室で社会保険に加入していれば、加入している健康保険組合から給付されます。
うちの会社でいうと「協会けんぽ」という一般的な企業と同じ健康保険組合になります。
勤務先の美容室が個人経営とかで社会保険未加入であれば、ご自身で国民健康保険に加入しているはずですので、お住いの地域の自治体から同じく子供1人につき42万円が支給されます。
出産手当金
産休中の休業補償として給付されるお金です。
【適用される期間】
出産予定日の42日前から出産後56日目までの98日間と決まっています。出産予定日よりも遅れた場合の日数も加わります。
【計算式】
出産手当金の1日あたりの支給額。
支給開始日以前12ヶ月間の平均給与額÷30日×(2/3)
【条件】
・社会保険加入の美容室のスタッフ(パートでも社保加入していればOK)
・健康保険に継続して1年以上加入
・産休中で給与が無し、ある場合は出産手当金より少ない場合
【支給対象外】
・旦那さんの扶養になっている
・国民健康保険に加入している(社会保険未加入)
育児休業給付金
育児休業期間中に支給されるお金です。
【適用される期間】
産後休業の翌日から子供の誕生日前日まで。
【計算式】
休業開始時賃金日額×支給日数の67%(育児休業の開始から6か月経過後50%)
【条件】
・雇用保険加入者
美容室と雇用契約を結んで従業員として働いてきた美容師です。
給付金のまとめ
- 出産育児一時金
- 出産手当金
- 育児休業給付金
この3つを受け取ることができます。
上記を例の女性美容師さんなら、
条件を満たし、手続き申請することで『240万円』くらいもらえます。
免除される保険料
産休育休の期間中は、社会保険料が免除となります。
社会保険加入の美容室に勤務している女性美容師さんは、厚生年金と健康保険料の支払いが免除となります。
また、この支払いの無い期間も保障は継続中ですので安心です。
それと、産休育休制度の給付金は非課税なので所得税はかかりません。
女性美容師が産休・育休を取得する
女性美容師さんも産休・育休を取得できます。
というより、労基法で労働者なら誰でも取得可能となっています。
しかし、制度を利用することで得られる「休業補償や給付金」は、先にも紹介したような条件を満たしている必要があります。
国が定める産休育休制度をフル活用するには?
産前産後の産休、育児のための育休は、女性美容師さん本人が希望し、勤務先の美容室に申し出れば取得することができるお休みです。
美容室オーナーは、この申し出を断ることはできません。
赤ちゃんが産まれるのにそのまま働き続けろというのは無理なので当然なことですね。
ただ、産休育休制度による給付金は、女性美容師さん全てが受取れるわけではありません。
条件としては、
- 美容室と雇用契約を結んで働く従業員であること
- 産休中は無給、または出産手当金より少ない給与
- 勤務先の美容室で社会保険に加入している
- 勤務先の美容室で雇用保険に加入している
(5.育休から職場復帰する前提)
1,美容室と雇用契約を結んで働く従業員
雇用形態は、正社員、パートどちらもOK。
逆に制度を利用できない女性美容師さんは、
- 業務委託美容師として働いている
- フリーランス、面貸しで美容師をしている
労働者は○、事業主は×。これが重要です。
2,産休中は無給、または出産手当金より少ない給与
出産手当金の給付は、産休中に会社からお給料が出ないことが前提です。
もし、会社からの支給がある場合は、出産手当金よりも少額な場合で、その差額分だけの給付となります。
3,勤務先の美容室で社会保険に加入している
雇用形態は、正社員、パートどちらでも社会保険加入者(被保険者)であればOK。
気を付けるべきは、個人経営の美容室に勤務している女性美容師さんで、ご自身で国民年金と国民健康保険を支払っている方は社会保険未加入となります。
1番わかりやすいのが法人経営(株式会社)の美容室に勤務していれば、社会保険に加入しているはずです。
法人経営の美容室でもフリーランスや業務委託で働く女性美容師さんは、社会保険未加入です。
また、勤務先の美容室を退職する場合は、継続して1年以上社会保険加入していなければなりません。
意外と知られていないのが美容師にとっての社会保険。きちんと理解したい方は、この記事でわかりやすく紹介しています。
↓ ↓
【必読】美容師にとっての社会保険にまつわる話
4,勤務先の美容室で雇用保険に加入している
雇用形態は、正社員、パートどちらも雇用保険に加入しているはずです。
ただし、育児休業開始前の2年間で雇用保険加入1年以上となっています。
また、勤務先の美容室によっては勤続1年上でないと育児休業を認めていないこともあります。
(5,育休から職場復帰する前提)
法律上は、育休制度を利用して手当てを受けて退職することが可能です。
けれども、会社の規定によっては『復職』を前提としているところが多いかと思います。
女性美容師さんであれば、産休育休に入る前に勤務先の美容室に「育休後もお世話になります。子育てと美容師の両方を頑張ります!」という前提が必要ということ。
とはいえ、保育園が見つからない…体調が悪い…やっぱり育児に専念したい…などの状況になるかもしれません。
なので、必ずしも職場復帰が絶対条件というわけではないのです。
オーナーという立場で考えれば、戻ってくると言っていたのに戻ってこないとなれば、正直悲しいし裏切られた気持ちになるかもしれません。
でも、仕方ありません。出産前は本当に復帰が希望だったというのであれば、それでOKです。(うちは)
ただ、会社としても復帰の準備をするわけですから、育休に入って「やっぱ育児に専念したい」と考えているなら、出来るだけ早めに相談してほしいです。
1人で悩まずに僕(会社)に相談してもらえたらと思います。(うちの話です)
女性美容師さんの妊娠〜産休育休〜復職の流れ
労基法で定められている「産休育休制度」を女性美容師さんが利用する場合の流れを説明します。
1,妊娠が分かったら勤務先に報告する
勤め先の美容室のオーナー、上司に妊娠の報告をします。
- 出産予定日を伝える
- 休業予定を相談する
ここで重要なことが、妊娠・出産後も美容師として仕事を続けたいという希望をはっきりと伝えることです。
「出産後もここ(この美容室)で働きたい」という意思を伝えるということです。
美容室オーナーは、従業員である女性美容師さんから「産休を取りたい」と申し出があれば、それを断ることはできません。
「妊娠し子供が生まれるので美容師を辞めたい」という希望であれば、勤務先にそう伝えた上で退職についての相談となります。
2,会社と今後のことを相談して決める
- 妊娠中の働き方
- 産休育休の申請
女性美容師の妊娠中の働き方
美容室の規模や状況でそれぞれなので、オーナーや上司と産休に入るまでの働き方をある程度決めましょう。
最優先すべきは「無理をしないこと」です。
僕は、妊娠中もサロンワークをしていた女性美容師さんを3人見てきましたが、普通?にシャンプーしたり、カットしたりするんですよね。
みんな「大丈夫、大丈夫〜!」と言って働いてました。
正直なところ、男性の僕にはわからないことだらけですが、当時は一緒に働くこっちが心配でたまりませんでした。
ただ、やっぱり体調に合わせて予約をセーブしたり、まめに休憩を取ったり、早上がりしたりしていましたね。
やっぱり無理せず大事にしてほしいです。
周りのフォローも必要となるので、しっかりと話し合って無理のない働き方をするべきです。
産休育休の申請
会社の定めに従って産休育休の手続きに入りましょう。
出産予定日の6週間前から申請すれば産休取得できます。
また、産休に入る前に育休の申請もしておく方がいいでしょう。
会社でやるべきこと、やってくれることをきちんと確認し、自分でやらなくてはならないことも確認しておきましょう。
各手当など管轄の自治体が違ったりするので、自分でも事前に産休育休について調べておくべきです。
基本的には、会社の労務担当者に相談するのがいいでしょう。
うちでは労務担当者という専任を設けていないので、スタッフからの申し出があり次第、顧問の社労士さんの協力のもと手続きを進めていきます。
所属する美容室によっても様々なので、大事なのは「きちんと自分でも調べて理解しておくこと」です。
3,産休育休中
女性美容師さんでも里帰り出産を予定していたり、お住いのエリアでの出産予定だったりとそれぞれでしょう。
産休に入ったら出産前までに準備できることはしておきましょう。
出産後の事務手続きの準備をしておく
出産後は、いろんな事務手続きが必要となります。
各自治体や会社を通しての手続きなど。
いつまでに何をやるのか、誰がやるのかを事前に調べて、旦那さんや家族と情報共有して準備しておきましょう。
退院してから準備していたのでは、子育てもあり慌ただしくなってしまいます。
必ず出産前にできる準備は済ませておきましょう。
出産後にやること
まずは、家族や親戚、友人への報告ですね。
そして、忘れてはいけないのが勤務先の美容室への報告です。
予定日が近づくにつれ、僕らも心配して連絡を待っています。
出産後は、会社を通しての手続きが必要なものもあるので、必ず職場への連絡もしましょう。
育児休業中にやること
日々の育児で忙しいかもしれません。
可愛い子供とたくさん過ごせる大切な期間ですね。
今度は、職場復帰への準備を少しづつでも進めていきましょう。
保育園のことや復職後の働き方などを考え整理しておきましょう。
育休後、
- 時短で働くのか?
- フルタイムで働くのか?
- スタイリストとして復帰するのか?
- アシスタントとして復帰するのか?
勤務先の美容室とも連絡を取り、復帰までにある程度話し合っておきましょう。
実際には、復帰してみないとわからないこともあります。
まずは、無理なくスタートできるのがいいと思います。
また、スタイリストであれば担当していたお客様への復帰予定DMの準備やシザーなどのメンテナンスなど、美容師としての大切な準備も忘れずに。
4,美容師として職場復帰
育休も終えてサロンワークに戻ってきます。
今までフォローしてくれた他スタッフへの感謝を忘れずに、しっかりと挨拶しましょう。
また、お客様への報告や挨拶も大切です。復帰を待っていてくれたお客様がいてくれるというのは、美容師として本当に嬉しいことです。
無事、職場復帰しても最初は無理せず始めましょう。
家庭と仕事の両立も家族の理解や協力が必要ですし、美容師のサロンワークという業務も決して楽なものではないですから。
女性美容師の産休育休についてのまとめ
美容師に限らず労働者の権利として誰でも取得可能な産休育休ですが、制度を利用して給付金を受けるには条件があります。
会社や勤続年数などによっても違いがあったりと正直複雑です。これを書いている僕ですら、書きながら情報を整理するのが困難なくらいです。
重要なポイントをおさらいします。
- フリーランスや業務委託サロンで個人事業として働く女性美容師さんは「出産手当金と育児休業給付金」の申請はできない。出産育児一時金は国保に加入していればもらえる。
- 産休育休制度をフル活用するには、法人経営の美容室で1年以上継続して勤務する必要がある。(会社に確認が必要)
旦那さんの扶養に入っておらず自分で社会保険に加入していること。 - 産休育休中は、社会保険料免除で保障は継続する。社会保険未加入の美容師さんは、国保と年金の支払いが必要。(免除されない)
これらをもっと簡潔に言うと、
法人経営の美容室で社保加入して1年以上働いてる女性美容師さんは、産休育休の給付金をすべてもらえて、期間中の社会保険料も免除!
業務委託サロンで仕事している女性美容師さんが貰えるのは、出産育児一時金だけで産休育休中でも年金と健康保険の支払いが必要!
ということです。
この2つの違い、法人代表の僕が言うのもなんですがめちゃくちゃ大きいと感じています。
確かに別で他魅力もある業務委託サロンでの美容師という働き方ですが、結婚・出産願望のある女性美容師さんなら、僕は社会保険加入して社員として働く方をお勧めします。(あくまで僕の考えです)
女性美容師さんでも考え方は人それぞれです。
結婚したい人、したくない人。子供が欲しい人、欲しくない人。自由です。
美容師になることを決めたのも自分。結婚・出産を機に美容師を辞めるのか、続けるのか決めるのも自分。
僕は、それぞれの考えや生き方に合わせて自由でいいと思っています。
そして、会社はスタッフの希望(決めた自由)をどうすれば実現できるのか、一緒に考え実行していくのがいいと考えています。
僕は、ママ美容師さんたちの活躍を見てきているので、美容師を辞めずに続けて欲しいとは思っています。
それと、経済的な面で考えても旦那さんと2馬力で働けるうちは無理せず働いて「稼げるだけ稼いでおく」というのが、今までの僕の経験からの考えでもあります。
もちろん無理はいけません。家庭が大事ですから。
めちゃくちゃ長〜い記事になってしまいましたが、女性美容師さんの産休育休に関する疑問や不安の解消に役立てたら嬉しいです♪
ママ美容師さんの働き方の参考にこちらもぜひ見てみてください。
→ママ美容師は扶養範囲内で働く方が得なのか?
株式会社and-L(アンドエル)は、女性美容師さんが無理なく働ける環境整備に力をいれています。
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